本稿では、再開発プランナー試験の対策方法を解説しています。具体的には目標とする点数、過去問演習のやり方、演習量の設定、演習の取り組み方と心構えなどが含まれます。
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目標とする点数
再開発プランナー試験の筆記試験は、学科試験と実技試験がそれぞれ100点満点で採点され、①学科試験と実技試験のそれぞれで科目基準点(いわゆる足切りライン)以上、かつ②学科と実技の合計点が合格基準点以上の2つの条件を満たした者が合格となる。
科目基準点については、ほぼ例外なく、学科試験は50点、実技試験は60点で固定されており、最低限、このラインはクリアしなければならないわけだが、本質的に重要なのは、2科目の合計点によって決まる合格基準点である。合格基準点は、合格者の割合が受験者の約30%前後となるように設定されていると思われ、年によって変動があるが、近年は上昇傾向にあり、だいたい140点くらいがボーダーラインとなっている。この点を鑑みると、やはりボーダーラインぎりぎりだと、運が悪いと(=他の受験生の出来次第では、)「1点足りなくて不合格…」という憂き目に遭ってしまうので、余裕を持って、150点(学科80点+実技70点)くらいを目標点としたいところである。
内訳については、個々人の得意・不得意があるので一概には言えないが、筆者の個人的な所感では、学科については、基本的に知識問題となっており、ある程度の勉強量をこなせば、それなりに点数を安定させることができる。それに対し、実技については、計算問題の出来により点数が左右される部分があり、1つのミスにより、その後が総崩れになる可能性もはらんでいる(ゆえに点数の安定性は、学科と比べると低くなる)。もちろん、実技は、きちんと計算が合っていれば80~90点を取ることも十分に可能なので、恐れすぎることはないが、個人的には、「基本的には学科で点数を稼ぎ、実技の失敗リスクに備える」という構図をおすすめしたい。
表 1 実施状況 図 1 合格基準点の推移学習ツールの充実度
再開発プランナーの関連分野に関する資格試験には、宅地建物取引士やマンション管理士、管理業務主任者といった資格試験があるが、こうした試験は、人気資格であったり、有名な資格試験であることから、試験対策用の参考書や講座、Youtube上での解説動画などが充実しており、学習を進めるうえでのツールを見つけることにはあまり苦労しない(複数の選択肢の中から、『自分に合ったもの』を見つけるのは少し面倒かもしれないが)。
いっぽう、再開発プランナー試験は上記のような資格試験とは異なり、不動産系資格の中でも、特に再開発とマンション建替えに特化した専門性の高い試験となっており、毎年の受験者数は約1000人程度と、世間的にはニッチでマイナーな資格試験であると言える。このため、大手の資格予備校や出版社からの対策用書籍の供給はない状況である。いちおう、再開発コーディネーター協会の公式ページでは、再開発プランナー試験参考書が紹介されており、まったくないというわけではないのだが、これらの本を買って勉強すれば、問題が解けるようになるかと言うとそれは微妙なところであり、「こうすればいい」といえるような王道がなく、ほぼ手探りの状態で試験対策を進めなければならないというのが、まずもって直面する難しさである。
筆者の勉強法
上述のような状況のため、筆者としても、どう勉強すべきかと頭を悩ませたが、筆者の場合、再開発プランナー試験を受験する前年に、宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者を受験しており、「資格試験の勉強」については、一定の経験値がある状態であった。そのときの経験上、「試験対策という意味では、結局、これが最も直接的かつ合理的」と思った方法があり、現実的にそれ以外の選択肢に乏しかったので、再開発プランナー試験についてもその方法で臨むことにした。
それは、「過去問演習を通じて、必要な知識を身に着ける」という非常に単純な(ある種、力業ともいえるような)方法である。もちろん、教科書や参考書を読み、法律や制度、背景知識などについてしっかりと理解を深めてから問題演習に進み、知識を定着させていくというのが理想ではある。ただ、この試験の場合はそういうルートが取りにくいし、試験に合格するための力は、問題演習を通じてしか身につかない。筆者は、上述の3つの試験勉強をした際、(幸運なことに)過去問の解説サイトを見つけることができ、その解説を読むことで、正解を導き出すために必要な知識への理解を深めていった(そして、結果として3つとも合格することができた)。
資格試験の中には、過去問が公表されていないものもあるが、再開発プランナー試験については過去問が公表されおり、過去問&解説集である『再開発プランナー知識大全』(協会推薦図書)が発刊されている。筆者は上述の3つの試験勉強時には、自作の演習用Excelシートを作成し、問題演習と解説の確認を行っており、再開発プランナー試験についても同様に演習用シートを作成して勉強(試験対策)を進めていった。本サイトでは、再開発プランナー試験 過去問演習セットのページで、上記のファイルを公開している*1。注意事項や禁止事項を守ってくれれば対策に役立ててもらってかまわないので、適宜、活用してほしい。
| *1 | なお、ファイル内の正解や解説の内容については、大全を参考としつつも、基本的にすべてを筆者が自ら記述している。 |
|---|
- 再開発プランナー研究会 編. 再開発プランナー知識大全. 日刊建設通信新聞社, https://www.urca.or.jp/planner/tosho.html.
試験対策講座
先述の方法は、筆者にとっては合っている方法であったが、万人にとってそれが最適な方法であるわけではない。文字情報による解説よりも講義形式の解説が欲しい人もいるだろう。そうした人には、『再開発プランナーを目指す再開発スクール』という選択肢もある。
これは、再開発プランナー試験専門の予備校であり、Webサイトの記載によれば、2004年から2017年までに100名を超える「再開発プランナ-」を輩出している日本で唯一のスクールです
とのことである(もちろん、2017年以降も運営を継続している)。オンラインでの講義に対応しており、居住場所に縛られずに専門講師による講義を受講することができる。当然、受講料はかかるが、合格率60%
(Webサイトの記載)とのことで、全体の合格率(毎年30% 前後)と比較すると高い合格率を誇っている。
- 再開発プランナーを目指す再開発スクール. https://www.saikaihatsu-school.com/.
筆者は、「資格試験の勉強には極力、金をかけない」人間であり、この予備校を受講したことがないので講義の分かりやすさなどは分からないが、「講義形式の解説が欲しい人」であったり、「失うもの(受講料)がある方が、むしろ、モチベーションを保ちやすい人」などは、こうした選択肢を検討するのもよいだろう。以下では、筆者の勉強法に戻り、過去問演習のやり方について記載する。
過去問演習のやり方
筆者としては、基本的に、過去問演習は(学科・実技どちらも)、「最新のものから過去○○年分」という具合に始点と終点を定め、その範囲の問題を2周程度するのがよいと考えている。
演習量の設定
具体的に何年分にするかは、それぞれに確保できる勉強時間やモチベーションにもよると思うが、余裕をもって合格するためには、学科は、「過去10~15年分」、実技は、「過去7~8年分」くらいの演習量が必要になると思われる(別稿も参照)。
演習の取り組み方と心構え
1週目(の特に最初のうち)は、誰でも知識が定着していなかったり、問題に慣れていなかったりするものなので、あまり点数を気にする必要はない。1週目は、どちらかと言えば、ひとつひとつの問題に対して丁寧に取り組み、問われている内容や出題されている問題に関する理解を深めるための時間と考えればよい。触れたことのある問題の量が積みあがっていくと、「この問題、よく出てくるな」とか「こういう言い方の場合は、たいてい間違い」と思うことが増え、試験を突破するうえで重要なポイントやひっかけのパターンなどが自然と見えてくるようになる。
2周目は、試験問題への対応能力をピークにもっていくための時間と位置づけられる。学科は、試験本番でも基本的に時間が余ると思われるので、必ずしも本番形式で(=マークシートを用意して)演習しなくてもよいと思うが、実技に関しては、別稿で述べるように本番形式での演習をした方がよい。こちらも学科試験と同様に、再開発プランナー試験 過去問演習セットのページで、演習用ファイルを公開している。適宜、活用してほしい。
スケジュール設定の考え方
資格試験の対策においては、本質的に、試験当日に、試験への対応能力を人生のピークにもっていくことが重要で、試験直前期には、とりわけ集中的に演習に取り組み、知識や技能を高いレベルに保った状態で試験当日を迎えるのが理想である。再開発プランナー試験は、8月の最終日曜日に行われ、世間的には、その前にお盆休みがある(むろん、そうした休みが関係ない業界や職種の人もいるだろうが)。こうしたスケジュールは、試験対策的にはありがたいスケジュールと言えるので、お盆休み期間を活用し、試験数日前くらいに2周目が終わるくらいの実施計画とするのが合理的だろう。そこからさらに逆算し、お盆休みを迎える前には1周目が終わっているくらいの時期には、1周目の演習を始める必要がある。こうした考え方にもとづき、自分の性質(意志の力が強いか否か、どれくらいのペースならモチベーションを維持できるかなど)や忙しさなどを考慮し、各自に合ったスケジュールを立てるとよい。
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