本稿では、再開発プランナー試験・実技試験の分析や解説、対策を進めるうえでのアドバイスなどを記載しています。
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出題されるテーマ
過去に出題された問題を「試験案内」の中で用いられている文言を参考に分類すると、大枠として、①総論、②事業の手続き、③資金計画、④権利変換計画、⑤事業計画、⑥再開発事業の企画、⑥権利調整等の6分野に分類することができる。後述するように、各分野の中にもいくつかのパターンやテーマがある。
解答方式の分類
実技試験は、基本的には学科と同様にマークシート方式だが、一部、記述式となっている問題もある。解答方式をより詳細に分類すると、以下のように分類できる。
- 選択式
- 複数の選択肢の中から正解と思うものを1つ選択し、マークする方式(稀に2つ以上マークする場合もある)
- 計算式
- 与えられた条件や設定値、計算方法に関する指示に従い、諸々の数値を計算し、算出された値をマークする方式
- 記述式(短文型)
- 空欄に当てはまる文言や単語、数値を記述式解答用紙に自筆する方式
- 記述式(長文型)
- 問われているテーマに対する解答や説明などの文章を記述式解答用紙に自筆する方式
- 作図式
- 従前・従後の権利状況を表す模式図や施設建築物の配置図などを記述式解答用紙に作図する方式
- 表の読み取り式
- 与えられた長期収支予測試算表を読み取り、問われている指標がどの年度に該当するかをマークする方式
解答方式別の配点状況
それぞれの解答方式ごとの(出題された場合における)配点状況を見ると、概ね以下のようになっており、ざっくりと、計算式は60~70点、選択式は10~20点、作図式は10~15点、記述式は10~15点、表の読み取り式は5~10点程度の配点となっている。計算問題は、年度別資金計画や権利変換計画を中心に毎回必ず出題され、「計算問題で60~70点、それ以外で30~40点」というのが標準的な配点となっているので、計算問題の比重が高めであると言える。
表 1 配点状況〔解答方式別〕 図 1 配点状況〔解答方式別〕の推移| 注1 | ひとつの設問に複数の要素が該当するものもあるので、重複計上により、合計点が100点を超えることがある。 |
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| 注2 | 2011年度については、出題ミスがあった部分がどの解答方式なのかが分からないため、集計上、合計が100点に満たなくなっている。 |
問題用紙の特徴
実技試験の問題用紙は、学科と同じく冊子になっており、特に変わったところはないが、1点、受験者にとってありがたいことがある。というのは、年度別資金計画や権利変換計画などの計算問題は、本来、「計算するうえでの設定条件」にあたる数値以外は、すべて受験者が計算しなければならないが、そうした数値の一部が問題用紙に印刷されていることがあるのだ。これは実際に解答してみると分かるが、このような数値は、自分の計算(の結果や方法)が合っているか否かを確かめるヒントになる。計算問題は、途中(あるいは最初の段階)で間違えると、以降が総崩れになるおそれがあるため、非常に神経を使うことになるが、印刷されている数値と合っていれば、とりあえずそこまでは合っているものと考えられるので、少し安心できる。逆に間違っている場合でも、まだ被害が少ない段階で修正することができる。おそらく、こうした措置は出題者側の温情だと思われるので、ありがたく活用していこう。
解答用紙の特徴
実技試験の解答用紙は、サイズ的には学科のマークシートよりも大きく、後述する内容(マーク箇所の数)とも関連するが、1枚だけでなく、2~3枚で1セットになっている(筆者が受験したときは、3枚)。記述式や作図式については、専用の解答欄が設けられており、いたって普通の解答用紙と言える。選択式については、選択肢の数が学科よりも多いこと以外は、学科と変わらない。
ただ、計算式には、他の一般的な試験とは異なる点が1つある。それは、「算出された値を1桁ずつマークしていかなければならない」、そして、「正解となる数値の桁数分しかマーク箇所が用意されていない」ということである。年度別資金計画や権利変換計画が計算問題の典型例だが、不動産事業を題材としていることもあり、正解となる数値の大半は2桁以上の値であり、桁数にもばらつきがある。本試験の場合、算出された値を1桁ずつマークしていかなければならない点に特徴があり、例えば、15,000が正解だと思えば、1, 5, 0, 0, 0と5ヶ所をマークする必要があるのだが、上述のように、解答欄には、正解となる数値の桁数分しかマーク箇所が用意されていない*1。もちろん、正解の桁数が分かったところで、正解できるかどうかは正しい計算ができているかによるが、算出された値の桁数に過不足があれば、それは確実に間違いということなので、ある意味で計算の間違いを修正する手掛かりにはなる。
| *1 | これは、解答者側にとっては、ある種のヒント(ネタバレ)とも言えるが、採点作業の合理化や最適化という観点では確かにこうするのが最善なのだろう。ネタバレを防止するのであれば、数値も含めて記述式とすべきだが、それでは採点作業にともなう労力やミスが増えることになる。ならば、すべての選択肢に予め10桁分くらいの欄を用意し、必要に応じて0埋めしてもらえばいいが、それは、紙面のスペース的にも塗りつぶす手間的にも無駄が多く、合理的ではない。桁数が分かっても数字が1でも違えば誤答なので、桁数程度のヒントは、能力を測るうえではさほど問題にはならないということである。 |
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作問の状況
再開発プランナーの実技試験は、毎年、完全新作の問題ばかりが出題されるわけではなく、過去に出題された問題のフォーマットが再利用されて出題されることが多い。こうした運用は、受験者にとっても、「過去問演習による対策がより有効になりやすい」という意味でありがたいものである。具体的には、以下のようなパターンがある。
表 2 出題パターン分類〔実技〕各年度ごとの問題構成は、以下のようになっている。
表 3 問題構成〔実技〕実技試験で得点するために必要な能力
先述の通り、再開発プランナーの実技試験は、過去のフォーマットが再利用されて出題される。これは、実際に問題を解いてみれば実感できると思うが、やはり、完全に初見の問題を解くよりも、過去に解いたことのある問題に取り組む方が取り組みやすい。ここで、先述した解答方式により、ざっくりと問題を知識系(計算系以外)と計算系に分けて考えてみる。
まず、知識系の問題については、学科試験とは異なり、推測で正解にたどり着ける問題というのはだいぶ減り、純粋に知っているか否かで正解できるかどうかが決まる問題が多い。選択式は、ある意味で国語の問題ともいえるので、「何となくこれ」と選んでいき、パズルを解いていけば正解になっていることもあるが、基本的には、どの解答方式においても、完全な初見の状態で解答するのは厳しいのでやはり、経験を積むことが重要である(ただ、学科試験と同様、似たような問題を繰り返し解くことで知識の定着を図れるほか、知っていれば、さほど解答に苦労しないのでしっかりと過去問演習をしておこう)。
計算系の問題については、電卓の持ち込みが可能であり、使うのは四則演算のみで高度な数学は必要ない。計算に必要な値や計算の方法は、基本的に問題文の中に指示や指定があり、それに従って計算をすればよい。ただ、計算系の問題が楽かと言われれば決してそうではない。個人的には、計算系の問題で得点するためには、頭の回転の速さや計算の正確性とスピード、冷静さなどの能力が必要になると考えている。
まず、計算系の問題は、細かい計算方法(費用の按分方法など)が言葉で記述されているのだが、中には「これは要するに、どう計算すればいいのか?」が分かりにくい問題もある。とりわけ年度別資金計画や床価格の設定などの問題は、前に計算で求めた値を使って次の値を出していくという構造になっている部分が多いので、どこかで間違えると、その後が総崩れになるという恐さがある。それゆえに、指示された計算方法を正しく理解し、正確に計算していくことが不可欠となる。
それにくわえ、後述するように、実技試験はとにかく時間的な余裕がない。最終的に合格出来れば、すべての問題に答える必要はないのだが、ひとつひとつの問題に時間をかけすぎると、時間内に問題を解ききれなくなってしまう。そういう意味で、情報処理や計算のスピードも欲しい能力になってくる。
試験本番は、ただでさえ緊張するものなのに、時間的な余裕のなさが追い打ちをかけてくるので、強いプレッシャーやストレスに曝されることになる。そういう状況の中では、気をつけていても、計算ミスをすることも出てくるだろう。そんな事態になっても、パニックになることなく、冷静に間違いを見つけ、軌道修正することもまた必要になるだろう。
計算系の問題は、完全に初見の状態でも解けなくはない。だが、その場合は、計算方法などを理解するのに時間がかかったり、「本当にこれで出し方はあっているのか?」と不安になり、苦しい状況の中で問題を解いていかなければならない。率直に言ってしまえば、計算問題は、「無理な人には一生かかっても無理」なくらい、人によっての相性があるように思える。ひとつのミスで多くが台無しになる可能性もあるので、得点の下振れが起こりやすい。ただ、先述したように、やはり、完全に初見の問題を解くよりも、過去に解いたことのある問題に取り組む方が取り組みやすい。幸いなことに、出題のパターンがだいたい決まっているというこの試験の特性を理解し、しっかりと過去問演習を積み、解答・解説を読む中で計算のやり方を理解(ないし、「たしかこういうふうに出したはず」という経験を)して本番に臨めば、だいぶ自分を楽にすることができると思う。
演習量の目安
上記のようなことから、過去問演習をするにあたっては、とりあえず、すべてのパターンを1通り経験しておけるようにするのがよいだろう。過去問の中には、1度出題されたきり、再出題されていない問題や法改正などにともなう時事問題的な問題もあり、そうした問題は、あまり優先的に取り組む必要はないと思うが、あるフォーマットが再利用される場合、だいたい5~8年くらいの間隔で出題されている(少々見にくくて申し訳ないが、表 2を右にスクロールすると、各パターンの年度別出題状況が見れる)。このことから、だいたい過去7~8年分を演習すると、ほとんどのパターンを経験することができるので、標準的には、それくらいの過去問演習をこなしておきたい*2。
| *2 | 最新出題年から、だいたいのパターンが出尽くすところまで遡っていくと、おおよそこれくらいの範囲となる(表 2 参照)。 |
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試験本番での思わぬ落とし穴:マーク箇所の多さ
筆者の経験上、実技試験に臨むうえで注意すべきと思う点を1点挙げておきたい。それは、「マーク箇所の多さ」である。これまで見てきたように、実技試験は、「計算問題の比重が高めで、数値を1桁ずつマークする必要がある」という特徴があり、この特徴の帰結として、他の試験ではなかなか見られないマーク箇所数となっている。
過去の傾向としては、だいたい2014年以前は、多くて200ヶ所程度の年が多かったが、それ以降は、平均で250ヶ所程度となっている(表 3・図 2)。数字だけ見せられても実感が湧かないと思うが、仮に1ヶ所マークするのに10秒かかるとすると、250ヶ所マークするのには約40分ほどの時間を取られることになる。
図 2 配点状況〔解答方式別〕の推移実際に3時間の中で解答してみるとよく分かると思うが、この「マーク時間」は侮れない難敵と言える。筆者は、過去問演習の段階で、本番形式(=マークシートに解答する)での演習は行っておらず、1週目も2周目も数値を問題用紙に記録し、採点を行っていた。そのときのラップライムは、平均で約2時間20分ほどで、「これなら、見直しの時間も十分に取れる」と思い、本番に臨んだ。しかし、本番中にこの事実に直面し、知らず知らずのうちに時間を削られていき、非常に焦らされることになった*3。もちろん、実際には、マークするだけでなく、問題文を読む時間、選択肢の中から選ぶ時間、計算する時間、記述式解答を解答する時間も必要になってくるので、本番では、時間的な余裕はほとんどないと思っていた方がいい(それにくわえて、腕の疲労もキツさを感じるポイントである)。
| *3 | 今となっては正確な記憶かどうかは定かでないが、問2の年度別資金計画が終わった時点で、残り1時間30分程度になっていた(ような気がする)。残り半分で大問3問に取り組まなければならないとなったときの焦りは尋常ではない。ただ、そうは言っても諦めるわけにもいかないので、そこからギアを上げ、脳をフル回転させて、何とか問題を解いていった。最終的に、すべての解答が終わったのが終了時刻の2分前で、当然、見直しをする余裕などなかった(過去問演習時のラップタイムを考えると、たしかにピッタリになる)。 |
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総じて、試験時間の終盤には、「時間的な切迫」、それに伴う「心理的な焦り」、速く解かなければならないゆえの「脳への負荷」、そして、「腕の疲労」に苦しめられることとなり、筆者の周りからも、疲れと焦りが混じったため息がそこかしこから聞こえてきた。試験本番でいきなりこの状況に陥ると、合格できる実力があってもその実力を発揮しきれなくなるおそれがあるので、実技試験については、準備段階から、マークも含めて演習を進めることをおすすめする。
具体的には、総論の中で述べたように、1週目は、制限時間やマークを気にせずに問題に取り組み、合格に必要な実力を養成し、2周目は、本番形式(制限時間を3時間として、マークシートに解答)で演習に取り組み、合格するための総合的な力を高めていくのがよいだろう。
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